目次
1.確定拠出年金とは
確定拠出年金とは、老後に向けた資産を作るために国民年金や厚生年金の上乗せ部分として任意で加入できる「私的年金」です。
加入者が月々の掛金を拠出(積立)し、用意された金融商品で運用すると、60歳以降に年金や一時金で受け取ることができます。
公的年金の支給開始年齢は原則65歳です。
60歳で定年退職する場合はその後5年間、公的年金を受け取ることができません。
確定拠出年金などの「私的年金」を活用することによって、公的年金受給までの空白の期間や生活資金の不足分を補うことが可能となります。
2.どんな種類があるの?
個人型確定拠出年金
愛称「iDeCo」というと聞いたことがある人も多いかもしれません。
自営業者や主婦、公務員など60歳未満の多くの人が加入できます。
メリット等も詳しく説明しているのでこちらの記事をあわせてご覧ください。
企業型確定拠出年金
企業型DCとも呼ばれ、企業が掛金を毎月拠出し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
ここで重要なのは、「掛金は企業が負担してくれるが、運用の結果はあくまで従業員の自己責任である」ということです。
マッチング拠出
さらに「企業が拠出する掛金だけじゃ物足りない」「もっと掛金を増やしたい」というひとのために「マッチング拠出」という制度もあります。
マッチング拠出とは企業型DCにおいて企業が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せするというものです。
ただし掛金については上限があり、以下の要件を満たす必要があります。
- 従業員が拠出する掛金の金額が、企業が拠出する掛金の金額を超えないこと
- 企業が拠出する掛金と、従業員が拠出する掛金の合計額が、掛金の拠出限度額を超えないこと
企業型DCは導入しているものの、マッチング拠出は採用していない企業もあるので、興味がある人は一度企業の担当部署に確認してみましょう。
3.どんなメリットがあるの?
企業型確定拠出年金には加入者だけではなく制度を採用している企業にとっても少なからずメリットがあります。(個人型確定拠出年金のメリットについては上記リンクのページをご覧ください)
加入者にとってのメリット
- 年金の運営管理機関に支払う事務費が会社負担になる
- 運用状況が加入者ごとに把握できるため、自分自身で資産の状況を管理できる
- 転職・独立などによって離職する際、今まで掛けた年金資産を持ち出し、転職先の企業型DCや個人型DCで引き続き運用が可能になる
企業にとってのメリット
- 企業年金の運用損の穴埋めや、退職給付債務の負担から解放され、財務体質の強化につながる
- 通算加入者等期間に応じて受給開始年齢の引き上げがある
- 加入者が死亡した場合は遺族が一時金で受け取ることができる
4.税制優遇
掛金が非課税
企業型確定拠出年金に拠出する掛金は非課税(給与扱いとならない)となるため、社会保険料がかかりません。同じ金額を給与で受け取った場合は、給与所得として税金・社会保険料がかかります。
同じ金額を給与で受け取った場合は、給与所得として税金・社会保険料がかかります。
同額を給与として受け取り続けた場合と比較すると、老後資金を積み立てながら、所得税・住民税も軽減することができます。
運用益に税金がかからない
一般的な金融商品で個人の資産を運用すると、運用益に対して税金が20.315%かかってきます。
しかし確定拠出年金の場合、運用益に税金はかかりません。
仮に毎月1万円を年率2%で運用した場合の受取額の差額は15年後で7万円、30年後で30万円も多く受け取ることができます。その運用益には税金がかからないということです。
老後の受け取り
確定拠出年金に積み立てた資金は年金や一時金で受け取ることができます。
- 一時金で受け取る場合・・・退職所得として退職所得控除が受けられる
- 年金で受け取る場合・・・雑所得として公的年金等控除が受けられる
例えば勤続年数38年間、一時金で受け取った場合約2千万円が非課税になります。
退職所得の計算方法
退職所得=(退職金等の収入金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額=800万+70万×(勤続年数-20年)
所得控除を有効に活用して、老後の資金に備えましょう。