雇用調整助成金を活用しよう

新型コロナウイルスのせいで業績は悪化したけれど従業員は解雇したくない・・・
そんな時に活用できる助成金制度があれば使いたいですよね?
今回は特に新型コロナウイルスによる影響で業績が悪化した場合に絞ってみていきます。

1.雇用調整助成金とは?

「雇用調整助成金」とは従業員の失業防止を目的として、1981年に創設されました。労働基準法では何らかの理由で休業せざるをえない場合、その理由が「会社都合」であれば従業員に「休業手当」として賃金の最低6割以上を支払う必要があります。ですが売上が減少しているのに手当を支給するのは難しく、従業員を解雇する可能性もあります。この助成金によって雇用を維持できるよう、休業手当を国が一部負担する制度が「雇用調整助成金」です。

2.新型コロナ特例措置とは?

新型コロナウイルスの影響を受けて雇用助成金に特例措置が設けられました。
通常時と特例措置を比較してみましょう。

    通常時   新型コロナ特例措置
対象事業者雇用保険が適用される企業・個人事業主雇用保険適用で新型コロナウイルスの影響を受ける企業・個人事業主
経営状況直近3ヶ月の売上高などが前年同期比10%以上減直近1ヶ月の売上高などが同5%以上減
対象従業員雇用保険に加入している被保険者被保険者でなくても可
助成率中小:2/3
大企業:1/2
中小:4/5
大企業:2/3
計画届計画届は事前提出事後提出でも可
休業規模要件中小:1/20
大企業:1/15
中小:1/40
大企業:1/30
残業相殺について残業相殺残業相殺を停止
教育訓練が必要な被保険者に対する教育訓練助成率は中小:2/3
大企業:1/2
加算額は1,200円
助成率は中小:4/5 
大企業:2/3
(解雇等を行わない場合は
中小:9/10 大企業:3/4)
加算額は中小:2,400円
大企業1,800円

主な変更点をまとめると以下のとおりです。

  • パートやアルバイトも対象になった
  • 助成率は最大で中小企業は9/10、大企業は3/4
  • 計画届の事後提出を認め、手続きを簡略化した

3.対象事業者は?

雇用調整助成金の対象となるのは、雇用保険の適用事業主で新型コロナウイルスの影響を受ける企業・個人事業主(全業種)です。
緊急対応期間(2020年4月1日から6月30日まで)においては、事業所設置後1年未満の事業主も助成対象となります。

4.最大限助成をもらうには?

助成率は、上記表のとおり中小企業が4/5、大企業が2/3です。
もし解雇を行わない場合には、助成率は中小企業で9/10、大企業で3/4となります。

自治体からの休業要請を受けても解雇等を行わず雇用を維持している、または労働基準法上の基準(60%)を超える休業手当を支給している中小企業は、以下の条件を満たすことでさらに助成率を10割まで引き上げることができます。

条件

  • 中小企業であり、解雇等を行わず雇用を維持していること。
  • 自治体の要請により、休業または営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主であって、これに協力して休業等を行っていること。
  • 以下のいずれかに該当する手当を支払っていること。
    ⅰ従業員の休業に対して100%の休業手当を支払っていること
    ⅱ 上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率が60%以上の場合にかぎる)

上記条件を満たしていない場合でも中小企業が解雇等を行わず雇用を維持し、賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分にかかる助成率が特例的に10割となります。

5.どれくらいもらえるの?

前年度に支払った給与総額から1人あたりの平均給与額を計算し、その額に助成率を乗じた額(従業員1人あたりの日額上限は8,330円)となります。

例:平均給与額が15,000円
  休業手当を9,000円(平均給与額の60%)支給した場合
   →8,100円(休業手当の9割)が助成されます。

上記の条件で、従業員30人を10日間休業させた場合の助成額は、次のようになります。

30人 × 10日間 × 8,100円 = 2,430,000円

助成額の上限を現状の1人あたり日額8,330円から1万5000円まで引き上げることが明らかになったり(5/14現在 毎日新聞)、また勤め先から休業手当を受け取れていない人などを対象に、雇われている人が直接申請して給付を受け取れる、新たな給付金制度を創設したりする考えもあるようなので(5/14現在 日本経済新聞)、ニュースを注意深くチェックしましょう。

6.申請するのに必要な書類は?

申請は通常1ヶ月ごとに行う必要がありますが、緊急対応期間中は複数月をまとめて申請できるようになりました。申請には「計画届」と「支給申請」が必要となります。本来は事前に「計画届」を提出する必要がありますが、事後提出が暫定的に認められているので、要件を満たした上で、既に休業中の会社や、これから休業する会社は6月30日(火)までに「計画届」の提出をすれば大丈夫です。

ⅰ計画届の提出に必要なもの

  • 休業実施計画届
  • 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
  • 休業協定書
  • 事業所の規模を確認する書類

ⅱ支給申請の提出に必要なもの

  • 支給要件確認申立書・役員等一覧
  • 支給申請書
  • 助成額算定書
  • 休業・教育訓練実績一覧表
  • 労働・休日の実績に関する書類
  • 休業手当・賃金の実績に関する書類

詳しい様式は厚生労働省のホームページまたはお近くのハローワークなどでも入手できます。

7.まとめ

申請が完了すると、おおむね1~2か月以内に審査・支給が完了する予定となっています。また、5月中旬にはオンライン申請が可能になるという話もあるようです。この実現により申請から支給まで約2週間に短縮される見込みです。まだまだ新しい情報が出てきますが、動向をチェックして厳しい状況を共に乗り越えましょう!
※記事は5/18時点での情報を基に作成しています。

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