業績が赤字に転じた場合の繰戻還付制度の活用

新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで黒字だったのが一転して赤字になってしまった法人も多いことと思います。そんな場合に「欠損金の繰戻しによる還付」の申請をすることで、前期に納付した法人税から今期の赤字に相当する法人税の一部を還付してもらえる制度があります。今回はその「欠損金の繰戻還付制度」についてまとめてみました。

1.制度の概要

この制度は、青色欠損金が生じた場合において、その欠損金額をその前事業年度に繰戻して法人税額の還付を請求できるというものです。もう少しわかりやすく説明しますと、前期黒字で法人税を納付していた法人が、今期経営悪化などで赤字になってしまった場合に、「欠損金の繰戻しによる還付」を税務署へ申請することで前期に納付した法人税の還付を請求できるという制度です。この欠損金の繰戻しによる還付は、法人税・地方法人税に適用される制度であり、地方税(法人事業税・法人住民税)にこの制度はありません。

2.適用要件

この制度を適用するには次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)前期及び当期について連続して確定申告書(青色申告書)を提出していること

(2)当期の確定申告書(青色申告書)を、その提出期限までに提出していること

(3)当期の確定申告書(青色申告書)と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること

3.還付金額の計算方法

還付金額の計算は次の算式により計算した金額の還付を請求することができます。

  還付金額 = 前期事業年度の法人税額 × (当期欠損事業年度の欠損金額※ / 前期事業年度の所得金額)

  ※当期欠損事業年度の欠損金額は前期所得金額が限度となります

4.利用できる法人枠の拡大

新型コロナ税特法による特例として、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度については、資本金の額が1憶円超10億円以下の法人についても青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能となります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly
コメントは利用できません。

どんなことでもお気軽にご相談ください

お問い合わせ