1.小規模企業共済とは
小規模企業共済制度とは、国の機関である中小機構が運営する制度で、小規模企業の経営者や役員、個人事業主のための積立てによる退職金制度です。現在、全国で約133万人(2017年3月現在)の方が加入されています。掛金は全額を所得控除できるので、税制メリットが高く、将来に備えつつ契約者の方がさまざまなメリットを受けられる制度となっております。
2.小規模企業共済に加入するには
小規模企業共済制度には、次のいずれかに該当する場合にご加入いただけます。
- 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
- 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
- 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
- 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
- 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
- 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
3.小規模企業共済のメリット
それではまず、小規模企業共済を利用する上でのメリットを整理していきます。
- 掛金が全額所得控除される
掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲で自由に設定することができ、最高で84万円(年間)が所得控除になります。 - 受取時にも税制メリットがある
共済金は、退職時や廃業時のほか、65歳以上で15年以上掛金を納付した方も受け取ることができます。受け取り方は「一括」、「分割」、「一括と分割の併用」が可能です。一括受取りの場合は退職所得扱いとなり、分割受け取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。 - 契約者貸付制度
小規模企業共済の加入者は契約者貸付が活用できます。借入限度額は掛金の範囲内で、貸付利率も年0.9%~年1.5%と低い金利で融資をうけることができます。
4.小規模企業共済のデメリット
次に、小規模企業共済を利用する上でのデメリットをお伝え致します。
- 短期間で解約すると元本割れを起こす可能性がある
小規模企業共済はあくまで万が一や退職時に備えた積立制度ですので短期間で解約すると掛金の全額は返ってこない場合があります。具体的には、掛金納付月数が12ヵ月未満の場合は掛捨て、12ヵ月以上20年(240ヵ月)未満の場合は元本割れしてしまいます。 - 契約者の死亡に伴う受給権者の指定ができない
小規模企業共済では経営者が死亡した場合、共済金の受取人を指定することができません。小規模企業共済法で受給権順位が決められており、第一順位が「配偶者」、第二順位が「契約者と生計を維持していた親族(子・父母・孫・・・)」となります。
5.まとめ
以上のとおり、小規模企業共済制度は、経営者の退職金制度としてだけでなく、所得控除や、もしもの時の事業資金としても活用できる非常に有効な制度となっております。ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。