法人が所有する資産にかかる税金と処理方法

法人が設備投資を行うことがよくあります。新しく資産を購入した場合、資産の種類や金額によって、かかる税金の種類や金額も違います。ここでは、法人が資産を購入した場合の税金についてとその処理方法について解説いたします。

1.固定資産税と償却資産税とは?

固定資産税とは、土地、建物や償却資産(事業用資産)を対象に、1月1日時点でこれらの固定資産を所有している者に対して課される税金です。納める金額は、その固定資産の所在する市町村の決定した固定資産税評価額に基づき計算され、固定資産の所在する市町村に納めます。

ただし、自動車税や軽自動車税の対象となる車両・運搬具は課税されません。なお、一つの固定資産に対して複数の所有者がいる場合は、登記簿上、先に記載されている人に納税通知書が送付されます。

また、法人が所有している固定資産の中でも、機械や備品を「償却資産」とよび、そこにかかる税金を「償却資産税」といいます。主な償却資産として、各種機械装置や看板などの構築物、パソコンや家具などの工具・器具備品があります。
償却資産に含まれないものとしては、自動車税の対象となる自動車、特許権など無形固定資産があります。ただし、ブルドーザーなどの特殊自動車は償却資産税の対象となります。

2.固定資産税と償却資産税の計算方法

土地や建物の固定資産税と償却資産税では税金の課税標準の計算方法が異なります。

固定資産税の金額=固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率1.4%
固定資産税の計算には、固定資産税評価額(課税標準額)という基準を用います。
固定資産税評価額(課税標準額)とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準を基に、市町村が決定する価格のことで、土地の公的価格や建物の時価のおおよそ7割程度の価格に設定されているといわれています。

償却資産税の金額=課税標準額×標準税率1.4%
1年目の課税標準額=取得価額×(1-減価率×1/2)
2年目の課税標準額=前年度評価額×(1-減価率)
計算式は、固定資産税と一緒ですが、課税標準額の求め方が異なります。
固定資産税では、固定資産税評価額を使いますが、償却資産税では、資産ごとに設定された減価率を用いて課税標準額を計算します。
全ての償却資産の課税標準額の合計額が150万円以下の場合には、償却資産税はかかりません。

3.償却資産の注意点

償却資産税の申告は、1月1日時点で所有している資産を、その年の1月末までに、その資産の所在する市町村へ提出することになります。
土地や建物、自動車税の対象となる自動車は、償却資産にはなりませんが、それ以外の固定資産であっても、償却資産税の対象とならないものがあります。

①購入代金等が10万円未満で消耗品費などとして経費にしたもの
②20万円未満で3年均等の一括償却を選択したもの

ここで注意しなければならないのが、少額減価償却資産です。法人税等の節税方法として多く使われますが、青色申告で30万円未満の少額減価償却資産の特例の適用を受けて全額を償却したものです。少額減価償却資産には償却資産税がかかることに注意しましょう。
また、取得価格が10万円未満の資産でも、固定資産として計上すると償却資産の対象となるので、こちらも注意が必要です。

4.法人が固定資産を所有している場合の処理方法

固定資産を購入した場合の処理

土地と建物を一緒に購入した場合は、土地と建物を分けて経理処理する必要があります。
例)土地2,500万円、建物2,000万円を購入し、普通預金から支払った。
借方勘定科目   借方金額     貸方勘定科目   貸方金額
  土 地    2,500万円      当座預金     4,500万円
  建 物    2,000万円         
土地については、時の経過とともに価値が減少しないものと考えます。そのため土地は減価償却せず、売却などをするまでは、取得価格のまま決算書などに残ります。
逆に、建物は、時の経過とともに価値が減少すると考えます。購入時は取得価格で処理しますが、毎年、減価償却を行い、帳簿価格を減少させる必要があります。

固定資産税を支払った場合の処理

固定資産税は年4回の分割で支払います(納期は自治体によって異なる)。勘定科目は「租税公課」で処理し、固定資産税を経費に計上できる時期は「賦課期日を含む事業年度内に全額を損金算入」というように国税庁によって決められています。賦課期日とは、税金が課せられる基準となる日で、固定資産税の場合は1月1日です。納付は第1期から第4期まで4回にわたって納付します。第4期分など、翌事業年度にまたがる分を「未払金」として今期の経費に計上することもできます。

5.まとめ

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