災害時に会社がとるべき対応

2019年10月12日の「台風第19号」が東日本や東北地方に甚大な被害を及ぼしました。この度の台風19号によりお亡くなりになった方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

このような自然災害の際に企業がとるべき対応についてまとめました。何かのお役に立てれば幸いです。

1.資金確保のため支払を止める

災害により事業継続が困難となり、売上減少に繋がります。しかし、支払いについては、自分から申し出がなければ引落しがかかってしまうため、引落を止める必要があります。

Ⅰ借入返済猶予を依頼する

金融機関に申し出することにより借入金の返済を猶予(据置)することについて、個別で相談に応じてくれます。金融機関では申し出がなければ返済を止めることはできませんので、借入先金融機関へご相談ください。

Ⅱ社会保険料の猶予を依頼をする

災害により社会保険料の納付が猶予される可能性があり、発表までに時間がかかる場合がありますので、管轄の年金事務所徴収課へお問い合わせください。

参考までに、H30年7月の西日本豪雨の際の措置

また、労働保険料の支払いについては 、損失を受けた日以後1年以内に納付する額が確定している労働保険料等(労働保険料、特別保険料及び一般拠出金)の全部又は一部が対象となります。

令和元年台風第19号に係る被害に伴う労働保険料等の納付猶予を希望される事業主のみなさまへ 

Ⅲ保険料の猶予を依頼する

各保険会社で、災害救助法が適用された地域の被災契約者の方には、お申し出があれば次の特別のお取扱いができます。

災害救助法適用地域の特別取扱いについて

保険料払込猶予期間の延長

お申し出により、保険料のお払込みを猶予する期間を最長6ケ月間延長。

保険金・給付金、契約者貸付金の簡易迅速なお支払い

お申し出により、必要書類を一部省略する等により、簡易迅速なお取り扱いができます。

Ⅳ中小企業退職金共済制度の掛け金の猶予を依頼する

災害救助法適用地域の被災加入者に対し、次の特例措置を実施しております。

掛金の納付期限延長手続きについて

申出により、一般の中小企業退職金共済制度の掛金の納付期限を最長1年間延長することができます。延長できるのは令和元年11月分から令和2年10月分です。

後納による割増金について

上記1の申出により納付延長した月分の掛金は、令和2年11月から令和3年10月までの期間に納付すれば後納割増金は免除となります。

2.資金を調達する

Ⅰ融資制度を利用する

災害救助法が適用された地域の被災者に対し、各金融機関ごとに緊急融資制度が設けられております。返済期間の猶予や適用金利の引き下げが適用された融資制度が設けられる場合もありますので、各金融機関にお問い合わせください。

参考までに福島県の金融機関の2019年台風第19号に関する情報は下記のとおりです。

Ⅱ保険金を請求する

台風などの水災は通常、請求後2~3週間で保険金が払われますが、大きな被害が出た場合、見積もりを出す修理業者の手が回らない などの理由で手続きは通常より遅れる可能性がありますので、早めに申請する必要があります。

また、災害救助法の適用地域では、保険料払い込み手続きなどを20年4月末まで猶予する特別措置がとられます。保険証券を紛失して保険会社がわからない場合、 自然災害等損保契約照会センターでお問い合わせができます。

3.帳簿及び請求書等を保存する

災害等で帳簿及び請求書等などの帳簿が浸水しても、破棄せずに乾燥させて保管してください。

ただし、災害等やむを得ない事情により課税仕入れ等の税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存できなかった場合、帳簿及び請求書等の保存がなくても仕入税額控除の適用を受けることができます。(消費税法第30条7項)

4.従業員への給与の支給等

被災して事業停止した際の「従業員への賃金支払」や「休業手当」の支払いも検討しなければなりません。

労働者の労働条件について使用者が守らなければならない事項等を定めた労働基準法の一般的な考え方についてQ&Aがあります。

令和元年台風第19号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A

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