
中小企業庁はこのほど「中小企業の親族内承継と事業承継税制の在り方に関する中間報告書」を取り
まとめ、公表した。
本報告書は、地域の活力を維持するために不可欠な事業承継、特に伝統的に選択されてきた親族内承継の円滑化を目指して作成されたもの。
今後の事業承継税制の在り方について、社会経済情勢の変化に応じた大胆な提言を行っている。
具体的な提言の柱の一つは、猶予対象となる株式数の上限撤廃。迅速な意思決定を支え経営を安定させるため、企業の状況に応じた柔軟な株式承継を可能にすべきであり、「二分の一といった制度上の上限を設けることは必ずしも妥当ではない」としている。
さらに画期的な提言として、納税猶予制度そのものの抜本的な見直しが挙げられた。現在の猶予期間が長期に及ぶ心理的負担や、成長に伴う納税負担増を避けるための不自然な株価圧縮といった企業行動の歪みを是正するため、十年間程度の事業継続による納税免除といった新たな仕組みの導入が検討の方向性として示された。
また、雇用確保要件についても、人手不足や物価高といった現状を踏まえ、単なる人数の維持だけでなく賃上げや生産性向上、デジタル化への取り組みを評価する仕組みへの転換が提案されている。
加えて、国内経済への波及効果が期待できる場合には、これまで対象外だった海外子会社の株式も税制の対象に含めることを検討すべきだとしている。
令和8年度税制改正大綱が公表
貸付用不動産評価の「歪み」を正す
年末の恒例行事となっている税制改正大綱が今年も無事に策定された。
今回の改正は、格差の固定化を防止し、全ての人に挑戦の機会がある社会を実現する観点から「税負担の公平性」の確保が強く打ち出されている。
特に資産課税の分野では、一部の富裕層を中心に行われてきた、市場価格と評価額の「乖離」を利用した節税策が見直される。
これまで、一棟マンションなどの貸付用不動産については、収益性が高く高値で取引される市場価格と、路線価などに基づく相続税評価額との間に極めて大きな「乖離」が生じていた。
このような評価の歪みは、不動産の本来の価値ではなく「他人に貸していることで所有者の自由が制限される」という税制上の仕組みを逆手に取ったものであり、租税負担の公平性を著しく損なうものとして問題視されてきた。
今回の改正により、相続や贈与の前5年以内に対価を伴って取得または新築された一定の貸付用不動産については、従来の評価方法ではなく、原則として通常の取引価額(時価)によって評価されることになる。
ただし、実務上の配慮として、課税上の弊害がない限りは、取得価額を基に地価変動などを考慮して計算した金額の100分の80(80%)に相当する金額で評価できる仕組みも導入される。
これにより、これまでは国税庁が個別に再評価を行っていた不透明な運用(評価通達6項)に代わり、明確な基準が設けられることで、納税者にとっての予見可能性が確保されることになる。









