
目次
1.旅費交通費の区分は?
旅費交通費とは、会社の事業や営業に関わる業務を遠隔地で行う際に発生する宿泊費などの旅費と、新幹線などの交通費を合わせた経費です。
主な内訳としては以下のとおりです。
- 出張交通費(航空運賃、電車代、タクシー代、有料道路交通料など)
- 出張宿泊代、宿泊費
- 昼食代などの食事代、食費
- 出張手当(日当)
- 赴任旅費(転勤の際の交通費など)
- ガソリン代
2.出張手当は原則として非課税になり節税になる!
旅費交通費のなかで特に会社と出張者の両方の経費となるのが「出張手当(日当)」です。
出張手当とは出張日当、もしくは日当とも言われ、出張した役員や社員に対して直接必要な交通費や宿泊費以外に支給する金銭のことで、出張先の食事代などの補助として支払われます。また、日帰り、宿泊問わず支給することができます。
本来、会社が役員や社員に支給する手当については、原則として給与所得となり、所得税・住民税が課税されますが、会社の職務遂行のための出張に際して支給される出張手当(日当)については「非課税」となります。(所得税法9条1項4号)
また、この出張旅費、宿泊費、日当については、支給した金額について通常必要であると認められる部分の金額は、消費税が課税仕入れになります。
課税仕入れとは、企業が消費税を計上する際に課税売上から控除される仕入れ金額のことで、基本的に課税仕入れの金額が大きくなるほど、納める税金は少なくなります。
旅費交通費はこの課税仕入れとして計上可能な上、業種によってはその額もかなり大きくなるので、節税の効果が得られます。
例えば、100万円の旅費交通費を計上した場合、消費税分だけでも10%で10万円の節税につながります。
3.一般的に相当と認められる出張旅費はどれくらいなのか?
非課税とされる出張旅費については、同規模の同業他社と比較して相当と認められることが必要です。
では、そもそも一般的に支給されている出張旅費はどれくらいなのでしょうか?
産労総合研究所という民間のシンクタンクが、出張旅費の支給状況を公表しています。
このデータをまとめると
Ⅰ国内宿泊出張の場合の日当、宿泊料
- 日当の平均額:社長4,621円、部長2,491円、一般1,954円
- 宿泊料の上限:社長14,242円、部長9,870円、一般8,723円
Ⅱ海外出張における地域別の日当、宿泊料
エリアにより異なりますが
- 部長クラスで日当5,000円台、宿泊料13,000円~15,000円台
- 役員クラスで日当6,000円台、宿泊料15,000円~18,000円台
この手当は法律で定められたものではなく会社任意のもので、当然支給されない会社もあります。よって会社としては、出張手当を社員に出すと決めた場合、基準として出張旅費規程を作成し、当該規定に基づき、役員や従業員に手当を支給しなければなりません。
4.非課税と認めてもらうためにやるべきことは
Ⅰ出張旅費規程の作成
出張旅費について非課税と認めてもらうためには、
- 出張旅費規程を整備するとともに
- 規定通りの金額を支給している
ことが必須です。
Ⅱ出張旅費精算書・報告書の作成
カラ出張を疑われないためにも、出張先・期間・目的等を記載し、交通費などの領収書を添付した「出張旅費精算書」や「出張報告書」を作成しておきましょう。
5.まとめ
出張旅費については、特に出張の多い会社では税務調査の際に必ずチェックされる項目です。定額支給の「宿泊費」や「日当」については節税効果が高いため、つい高額に設定したくなるものです。もし否認された場合、
- 出張したのが役員であれば、否認された部分は役員賞与となり、会社は経費にできない
- 出張した役員や従業員は、否認された部分に所得税・住民税が課税される
ことになりますので、金額は慎重に決定する必要があるでしょう。