政府 金融機関に柔軟な資金繰り対応を要請 企業はアフターコロナを意識し抜本的な対応を

政府 金融機関に柔軟な資金繰り対応を要請 企業はアフターコロナを意識し抜本的な対応を

11月19日に「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が閣議決定された。

これに伴い経済産業省では、金融機関に対して「現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等の事象のみで機械的・硬直的に判断せず、丁寧かつ親身に対応すること」「返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること」を改めて要請している。

ただ、当の金融機関の状況は厳しく、特に地銀に至っては、いわゆる「ゼロゼロ融資」をほぼ無審査に近い状態で行ってきたため、不良債権予備軍とも言われる「要注意先」がコロナ禍で大幅に増加している。

当面は政府の要請もあり柔軟に対応すると見られるが、アフターコロナでは、これらの要注意先に対し一気に厳しい対応を迫る可能性が高いだろう。

では、企業はどのような対応が必要だろうか。

まず資金繰りについてだが、安易なリスケジュールは避け、先に追加融資や借り換えを検討する必要がある。貸出条件の緩和は自社の格付けにも影響するためだ。

それから、アフターコロナに向けた事業計画・経営改善計画を立てるべきだろう。

アフターコロナにおける経営環境を分析し、経営課題を抽出。解決策を、スケジュールやリソースも明らかにしながら具体化する。

また、これらの施策を落とし込んだ予想財務諸表も作成すると良い。企業が独自に策定できなければ、顧問税理士や、近隣の「認定支援機関」に頼るのもひとつの手だ。

また、事業計画策定の段階で新規事業のヒントを得ることもあるだろう。このような場合には「事業再構築補助金」や、設備投資を伴う場合には「小規模事業者持続化給付金」「IT導入補助金」などの活用も検討したい。

国の借金、9月末時点1215兆円
過去最大更新のペースを脱する

財務省が公表した、2021年9月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、過去最大だった2021年6月末から5兆4836億円減って1215兆1532億円となり、これまで続いていた過去最大更新ペースを脱した。

しかし、新型コロナ感染の拡大を受けて編成された2021年度予算では、追加歳出や歳入不足の財源を全て国債の発行に頼っており、さらに今後の経済対策への財政出動が予想され、国の財政は厳しい状況が続きそうだ。

9月末の国の借金は、2021年6月末に比べ、国債は約▲8.6兆円減の約1058.2兆円で全体の約87%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は、約▲2.2兆円減の約939.8兆円となった。

その内訳は、長期国債(10年以上)が約9.3兆円増加して過去最大の約732.6兆円、中期国債(2年から5年)も約1.9兆円増の約166.8兆円と増加したが、短期国債(1年以下)が約▲13.4兆円減の約40.5兆円となって全体を押し下げた。

この「国の借金」1215兆1532億円は、2021年度一般会計予算の歳出総額106兆6097億円の約11.4倍、同年度税収見込み額57兆4480億円の約21.2倍である。

年収500万円のサラリーマンが1億600万円の借金を抱えている勘定だ。

また、わが国の今年11月1日時点での推計人口1億2507万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2021年6月末時点の約974万円からやや減少したが、約972万円にのぼる。

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