コロナショックなのに金価格が乱高下! 歴史的な需給逼迫で「安全資産」としての価値は?

コロナショックなのに金価格が乱高下!
歴史的な需給逼迫で「安全資産」としての価値は?

 新型コロナウイルスのパンデミックは、金融市場を混乱に陥れた。こうした事態になると注目されるのが安全資産だ。とりわけ金は、株価下落時に価格上昇しやすい。実際、新型コロナウイルスの脅威が大きくなり始めた2月末時点で、1グラム6,000円近くまで上昇。しかし、パンデミックの様相を呈してからは下落し、5,000円を割り込む瞬間も。不安心理が高まり現金化の流れが強まったことが要因と考えられる。それが如実に表れているのが、恐怖指数とも呼ばれるVIX。20以上で「不安が高まった」とされるが、金価格が5,000円を割り込んだ3月18日には85.47をマーク。リーマン・ショックに連鎖して起こった2008年10月の世界金融危機のときが9.53で、それ以外でもっとも高かったのは50台だから、まさにパニック状態だったことがわかる。
 一方、世界各国が出入国や移動制限を実施する中で、金を取り巻く状況は変わってきた。航空便が大幅に減少したことで、国際的な現物取引のルートがなくなり金の精製施設が閉鎖されてしまったのだ。BMOキャピタル・マーケッツの金属デリバティブ取引責任者は「過去数十年、戦争や金融危機、自然災害でもなかった事態」とコメントしている。
 金の精製がストップすれば、自ずと金価格も上昇する。投資と考えれば買わない手はないが、裏を返せば高リスクな商品になってしまったことを意味する。結局、「安全が保証される資産」はないということなのだ。「卵は一つのかごに盛るな」という投資の格言は、一層重みを増すことになるだろう。

20年の公示地価は5年連続上昇
全国的に広がる地価の回復傾向

 国土交通省が公表した2020年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.4%のプラス(前年1.2%上昇)と5年連続で上昇したことが分かった。
 住宅地は0.8%(同0.6%)、商業地は3.1%(同2.8%)上昇。地方圏の地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)以外のその他地域でも、全用途平均・商業地が1992年以来28年ぶりに上昇に転じ、全国的に地価の回復傾向が広がっている。
 地方圏は、住宅地が前年比0.5%上昇(前年0.2%上昇)で2年連続の上昇。商業地(1.5%上昇)・工業地(1.1%上昇)は3年連続の上昇となり、上昇基調を強めている。地方圏のうち、地方四市では5.9%上昇と7年連続の上昇となり、上昇幅も6年連続で拡大。地方四市を除くその他の地域においても、全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇に転じ、住宅地は0.0%と1996年から続いた下落から横ばいとなった。
 国交省では、地価上昇の背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、(1)交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調、(2)オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調であること、を挙げた。住宅地については、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあって、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調としている。

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