過熱する米中貿易摩擦が資産運用に及ぼす影響 生保は続々とオルタナティブ投資へとシフト

過熱する米中貿易摩擦が資産運用に及ぼす影響
生保は続々とオルタナティブ投資へとシフト

米中貿易摩擦が激しさを増している。トランプ大統領の言動は、来年11月の大統領選挙を踏まえた事前運動と見ることもできる。そして、米中貿易協議の決裂をやむなしとした中国側としては、天安門事件30周年を迎えることもあり、国内のガバナンス強化のためにもアメリカの要求をそのまま呑むわけにはいかなかったのだろう。
 とはいえ、株価にはすでに影響が出ており、超低金利が続くこともあって、株式投資でリターンを狙うのが厳しくなっているのは間違いない。安全な運用を求められている生保各社がオルタナティブ投資へ続々とシフトしているのが象徴的だ。日本生命は、運用計画説明会で不動産などの資産の残高を拡大していくと表明。住友生命は道路や鉄道といったインフラ事業への投資を本格化させている。
 このなかでも、一般投資家が注目したいのは不動産投資の動向。不動産業界は、不自然なほどデジタル化が進んでいないからだ。この点に注目し、不動産管理会社向けに資産運用・管理プラットフォームを提供しているスタートアップ企業もあり(WealthPark社)、この4月にSBIインベストメント、日本郵政キャピタル、みずほキャピタルの3社から5億4,000万円の資金調達に成功している。今後、ますます重要性を増すと考えられるオルタナティブ投資。では、具体的にどのような投資を行うべきかと考えたとき、こうしたスタートアップの動きにもぜひ目配りをしておきたい。

国の借金、過去最大の1103兆円
国民1人当たり約874万円に増加

財務省が公表した、2019年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、前年度末(2018年3月末)からは15兆5414億円増えて過去最大の1103兆3543億円に膨らんだ。これは、全体の9割近くを占める国債の残高が前年度末から約18兆円も増加して976兆8035億円となったことが要因とみられる。なかでも、普通国債のうちの長期国債(10年以上)は約33兆円増加して過去最大の674兆8995億円となった。
2018年3月末に比べ、国債は約17.7兆円増の約976.8兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債+赤字国債)は、約20.9兆円増の約874兆円(うち復興債が約5.4兆円)と過去最高を更新した。他方で、一時的な資金繰りに充てる政府短期証券は▲約1.3円減の約73.3兆円、財政投融資特別会計国債は▲約2.3兆円減の約92.2兆円、借入金は▲約0.8兆円減の約53.2兆円といずれも減少している。
 この「国の借金」1103兆3543億円は、2019年度一般会計提出予算の歳出総額99兆4291億円の約11倍、同年度税収見込み額62兆4950億円の約17.7倍である。
これは、年収500万円のサラリーマンが8850万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2623万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2018年3月末時点の約860万円から約874万円に増加している。

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