地方法人税の税率改正 令和元年10月1日以後開始事業年度より適用開始

 平成28年度税制改正によって令和元年10月1日以後開始事業年度から地方法人税率の改正があることを皆様ご存知でしょうか?当初は平成29年4月1日以後開始事業年度から適用開始予定でしたが、消費税率引き上げ時期が延長になったため、消費税率引き上げ時期と同じ令和元年10月1日以後開始事業年度から適用されることとなりました。既に適用開始事業年度がスタートしている企業もあると思いますのでこの機会にしっかり確認しておきましょう。

1.地方法人税とは

 地方法人税とは、平成26年度税制改正で創設された税金で、これまで地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納めるよう転換し、国から各地方自治体に地方交付税の財源として配分することによって地方財政の不均衝を緩和する目的で創設されました。地方法人税の額は課税標準法人税額に4.4%の税率を乗じた金額となっております。

※地方法人税創設されて国税が4.4%増えましたが、同じく地方税の法人税割の税率が4.4%引き下げられため税金の負担自体は原則以前と変わりません。

2.平成28年度税制改正により地方法人税率引き上げ決定

 平成26年に創設された地方法人税ですが、その後平成28年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」により、地方法人税の税率が下記のとおり引き上げられることが発表されました。

(改正内容)
 各課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税の税率を10.3%(現行:4.4%)とすることとする。この改正は平成29年年4月1以後に開始する課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税について適用する。

3.消費税率引き上げ時期延長により地方法人税率引き上げも延長へ

 平成28年度税制改正により平成29年4月1日以後開始事業年度から地方法人税が引き上げされる予定でしたが、同年6月に消費税率引き上げ時期延長(当初平成29年4月1日施行⇒令和元年10月1日)が発表されました。その後同年11月28日に公布された「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律」によって地方法人税の税率引き上げ時期も令和元年10月1日以後開始事業年度から適用されることとなりました。

4.地方法人税率引き上げと地方税の法人税割の税率引き下げ

 令和元年10月1日以後開始事業年度から地方法人税率が10.3%(現行4.4%)になるため、現行より5.9%引き上げられます。その一方で、地方税の法人割の税率が5.9%(都道府県民税で2.2%、市町村民税で3.7%)引き下げられます。これは平成26年度に地方法人税が創設された時と同様、地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納めるよう転換しているためです。そのため税金の負担自体は原則今までと変わりません。

5.まとめ

 適用開始が令和元年10月1日以後開始事業年度ですので実際には令和2年9月決算11月申告時からの適用ですのでまだしばらく先ではありますが、申告時期になって知らなかったということがないように事前に確認しておきましょう。

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