セルフメディケーション税制と所得控除

1.セルフメディケーション税制とは?

これまでは1月1日~12月31日までの1年間に自己負担した医療費の合計が10万円を超えなければ医療費控除を受けられませんでしたが、この「セルフメディケーション税制」の施行により、対象となる市販薬を家族の購入分を含めて年間12,000円を超えて購入した人は、確定申告することで所得控除が受けられるようになりました。

2.適用を受けられる方

①所得税、住民税を納めていること。

②セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年に、「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っていること。

◇「一定の取組」とは
Ⅰ保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
Ⅱ市町村が健康増進事業として行う健康診査
Ⅲ予防接種【定期接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)、インフルエンザワクチンの予防接種】
Ⅳ勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
Ⅴ特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
Ⅵ市町村が健康増進事業として実施するがん検診

③制度の対象となるOTC医薬品の年間購入額(1~12月)が12,000円を超えている(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)こと。

3.対象医薬品の範囲

対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)とされています。


また全てのOTC医薬品が対象になるわけではなく、医療用医薬品でも使われている83成分を含む約1600品目がOTC医薬品が対象です。

対象となるOTC医薬品のパッケージにマークが表示されています。
OTC医薬品を選ぶ際は、マークの有無を確認しましょう。
このマークは掲載が義務化されているわけではありません。
マークが付いていなくても対象となるOTC医薬品もありますので店頭で確認しましょう。

セルフメディケーション税制対象となるOTC医薬品を購入した際に発行されるレシートにも、対象のOTC医薬品であることが記載されます。
レシートや領収書は確定申告の際に必要ですので、必ず保管しておくようにしましょう。

4.必要書類

セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、次の書類の提出が必要です。
①セルフメディケーション税制を適用し計算した確定申告書
②セルフメディケーション税制の明細書 
③一定の取組を行ったことを明らかにする書類(提示によることもできます。)

◇一定の取組を行ったことを明らかにする書類
・インフルエンザの予防接種又は定期予防接種の領収書又は予防接種済証
・市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
・職場で受けた定期健康診断の結果通知表
・特定健康診査の領収書又は結果通知表
・人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表

経過措置として、平成31年(2019年)分の確定申告までは、明細書ではなく領収書の添付又は提示によることもできます。

5.注意点

医療費控除とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を同時に利用することはできないということです。

従来は世帯全員分を合わせても入院や出産など何か医療に関わる大きなことがなければ医療費が年間10万円を超えることはほとんどないので、あまり利用しやすい控除ではありませんでした。
しかしセルフメディケーション税制によって医療費控除の対象範囲が増え、より多くの人が控除を受けられるようになりました。

医療費控除とセルフメディケーション税制は併用することはできませんが、夫が医療費控除、妻がセルフメディケーション税制というように世帯内の違う人がそれぞれ申告をすることはできます。

それぞれ計算してどちらか有利なほうを選択しましょう。

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